エレベータ・リニューアル工事

 2003年11月7日〜12月1日

 

 エレベータ・リニューアル工事でエレベータの巻上モータが更新されてインバータ制御となり、制御システムが一新されました。そして「ゆっくりモード 」が付加され、ご高齢の方、障害のある方への配慮されました。また、停電時自動着床装置が付加され、カゴ内の閉じ込めを防ぎ、 加えてS波センサーとの組合せで大地震に際して最寄階への自動に着床されるようになりました。
 エレベータの稼動状況は、24時間稼動のエレベータ管理センターで常時監視され、異常を未然に検出できるようになるとともに、万一の故障時はカゴ内のインターホンから直接、管理センターと通話できるようにな りました。
 そして1階エレベータホールにはカゴ内の状況を表示するモニターテレビが設置され、カゴ内の異常を外部から確認できるようになりました。

 

● 以前の状況


仕上げの汚れ


内装の汚れ


化粧シートの破損

● 改修後の状況


モニターテレビ設置


化粧シート貼り替え、鏡取付


ゆっくりモードと手摺取付

 

エレベータ・リニューアル工事着工前の記事

 

■ なぜ、リニューアル工事なのか?

 2002年11月末の夜9時頃、1階でエレベータの乗場ボタンを押すと、1階にカゴが来たのですが、扉が開かないでそのまま上昇してしまいました。「おかしいな・・・」と思いましたが、カゴが下降してきて扉が開きました。そこで「大丈夫だろう」と思い、1階で待っていた数人の人と一緒に乗り込み、停止階を選ぶと扉が閉まって上昇しましたが、カゴが昇降路の途中で止まってしまいました。その時点でやっとエレベータに動作異常が起きていたことを認識しました。とりあえずカゴ内の操作盤の停止階選択ボタンを全部押したらカゴが動き出し、近くの階に停止して扉が開いたことからそこで降りました。(トム・ハンクスとメグ・ライアン共演の映画 "You've Got M@il" の1シーンのようにカゴの中に閉じ込められるか?と一瞬、考えたのですが、この事態は免れました。)直ぐにエレベータの動作異常と修理依頼の連絡をし、エレベータメンテナンス会社に修理にきてもらい、深夜までかかった修理作業の後、動作が正常に戻りました。
 当マンションのエレベータは定期メンテナンス契約により管理を行っていますが、使用開始から20年を経て、上記の私が遭遇した事態以外にもセンサーなどの経年変化なども原因と考えられる動作不良が確認されているとのことでした。このような機械装置の故障発生はバスタブ型の特性となることから、今後、故障の発生が増えることが推定されます。
 長期修繕計画では竣工後30年の時点での全面改修が予定されていましたが、当初の計画が作成された時点からエレベータの改修工事に関する技術開発が進み、全面改修よりも1/3程度にコストを抑えられ、かつ、居住者の生活に支障をきたすエレベータの使用できなくなる期間を短期間にできるエレベータのリニューアル工法がつくりだされていました。そこで平成15年度の管理組合総会の議案として、上記のような「エレベータカゴ内への閉じ込め」といった不具合を未然に防ぐためのエレベータのリニューアル工事の提案が行われ、承認されました。

■ エレベータ・リニューアル工事の概要

 目に見えない部分ですが、本工事の中心となるのはモータとエレベータ制御盤をはじめとするセンサー、ケーブルなどの制御機器の交換となります。これにより使用や経年変化によって劣化したものを交換し、新品と同じように安心して使えるようにします。そして制御盤の交換により、現在のエレベータでは一般的となっているインバータ制御を導入し、よりスムーズなエレベータの上昇下降動作を実現します。なお、エレベータの定格速度ですが、建築基準法によって定格速度と昇降路の頂部すきまとピット深さが定められていることから、現在の建築構造の改造に及ばないように現在と同じ60m/minとします。
 以上に加え、エレベータ・リニューアルにおいて、現在のエレベータに対して次のような改善を図ります。

● 利用しやすさへの配慮

 さまざまな利用者の使用を考慮して、「ゆっくりモード」の機能を付加します。これは各階の通常の乗場ボタンのあるいはカゴ内の通常の操作盤と別につけられた「ゆっくり乗場釦」「ゆっくり操作盤」を操作することで扉の開閉速度が遅くなるもので、高齢者、妊婦など動作のゆっくりとなる人に対応するものです。また、カゴ内には手摺と、車椅子での使用を考慮した鏡の取り付けを行います。

● 停電への対応

 現在のエレベータはカゴに乗っていて停電となるとその内に閉じ込められてしまいます。リニューアルでは停電時自動着床装置を組み込みます。これにより、停電になると一旦は停止しますが、自動的に最寄階に動き出して扉を開け、カゴ内に閉じ込められることを防止します。

● 地震に対する対応

 大地震が発生した場合、それを検知して自動的に最寄階に停止し、ドアを開けて避難できるようにします。なお、大地震後のエレベータ運転の復旧は異常の点検の必要があるため、エレベータメンテナンス会社の技術者が到着して以降となります。

● エレベータ異常への対応

 エレベータに乗っていて動作異常に遭遇した場合、カゴ内のインターホンを使って連絡をとることになります。現在は管理人室との通話となり、管理人室から更にエレベータメンテナンス会社に故障への対処を連絡することになります。
 リニューアルでカゴ内のインターホンでエレベータメンテナンス会社の24時間稼働のサービスセンターに直接、通話できるようにします。これにより、異常時の迅速な対応を可能にします。また、前述の制御盤類の改修にも関連しますが、エレベータを構成する各機器の稼動状況をモニターする機能が付加され、常時、エレベータの運転状態がサービスセンターで把握され、故障を未然に防ぐ、予防保全が行われるようになります。(現在のエレベータはいくつかの動作異常については、エレベータメンテナンス会社に自動的に信号が送られるようになっていますが、その詳細は現地に来ないとわかりません。)

● 仕上げの改修

 大規模修繕工事でエレベータカゴ内の仕上げの改修を行いましたが、仕上げに傷つきや汚れが目立ってきたことからその改修も行います。