大規模修繕工事での緑地帯の整備

 

■ 緑化専門委員会発足の経緯

 1983年の竣工後、年間の定期的な緑化整備作業は行われていましたが、近くに江戸川河川敷があることもあって雑草が生い茂りやすく、緑地帯は雑草がはえる場所となっていました。有志の方がなんとかしようと、花壇をつくったりしましたが、継続することができませんでした。
 1993年の自治会で弐番街の緑環境整備について検討がなされ、リサイクル活動による緑基金から費用を捻出して、設計会社に改善案の作成を依頼しました。この案が管理組合に提出されましたが工事金額の面で難しいものでした。
 ちょうど、この頃、管理組合のもとで大規模修繕工事の準備のために大規模修繕専門委員会が発足していました。その委員会は、「単に構造物の補修や外壁の塗り変えをするのではなく、このマンションに住んでみて顕在化してきた使い難い点、不具合点を工事費予算を考慮にいれながら、今後の改修工事も考慮して長期的な視点から工事内容を計画する。(例:段差等解消、擦過傷を招く外壁仕上の排除、メンテナンス性向上等)」という姿勢で取り組んでいました。そのころの緑の環境もマンション全体としては一種の不具合と考えられることから、公募で集まった緑の環境に関心の高いメンバーと大規模修繕専門委員会のメンバーの数名とで構成される緑化専門委員会が発足し、緑の環境整備について検討を開始しました。

■ 大規模修繕工事における緑の環境整備の考え方

 緑化専門委員会はまず、その頃のマンション内の緑の環境の問題を整理しました。この内容として次のようなものがありました。

  • マンション東面は駅へいく際の動線の太い部分であるが、夏場は雑草地と化している

  • ライオン公園周囲の緑地は小供達が走りまわり土が剥き出しになっている

  • 敷地境界線近くのケヤキが太くなり、舗装面を持ち上げている

  • 電線の下にある樹木が大きくなり撤去の必要がある

  • 緑地帯の土の深い部分は建設で使った砕石が埋まっていて、木が根を深く張れない

 このような現状を踏まえながら自治会から提案のあった図面を吟味し、「大規模修繕工事によって建物はきれいになるが、駅にいくために皆が通る東側の歩道の植栽は雑草が生えた状態でみすぼらしい状態である。この部分の整備は大規模修繕工事としても重要な意味をもつ」というのが共通の理解となり、『人の動線上にある部分に範囲を絞り、既存の緑地帯の平面的な形状は変えない』という基本方針を立てました。そして植え込み部分は大規模修繕工事の打放しコンクリート部の補修工事の仕様にも関係することから、この統一感をどのようにとるか、という面が検討されました。また、緑の環境については大規模修繕工事の範囲だけで完成するものではなく、長期的な観点からとりくむことが必要なため、長期計画も策定されました。そして植栽の内容について検討されました。
 このような検討を経て、管理組合のもとに両専門委員会が協力して、大規模改修工事との整合性をとり、緑地帯の整備について実現可能な仕様にまとめあげられました。具体的には、1号棟、2号棟、店舗棟の東面の緑地帯に植栽を行うため、縁石の位置から植込み用のよう壁を立ち上げることとして、クラック補修をして塗装仕上げを計画していたライオン公園周りの打放しコンクリートは他の植込み部分と同じくタイル仕上げとし、これらの部分の土の入替えと土盛りを行い植栽することとしました。
 下の写真は東面の改修前・後を比較したものです。マンションのイメージが変わったことがよくわかります。

改修前(秋)

改修直後(冬)

・ 上の写真は南流山弐番街大規模修繕工事の竣工引渡し書類から利用させていただきました。

 

■ 緑化整備作業

 大規模修繕工事後、その植栽工事を担当した中新造園が当マンションの緑化整備業務を行うことになりました。そしてこれまでちゃんと剪定されてこなかった高木などの整備が早速、行われ、基本的な部分の整備が着実になされていきました。
 害虫の発生など、現場でしかわらかない変化について管理員が中新造園と連絡をとることで、よい管理状況が保たれています。また、この判断には緑化専門委員会がサポートを行っています。