マンションの老朽度の判定

国土交通省住宅局市街地建築課・国土技術政策総合研究所

 

 平成15年1月27日の国土交通省の記者発表として、マンション居住者で構成される管理組合や専門家の取り組みを支援するための「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」及び「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」を作成した、というものがありました。この中で管理組合による簡易的な「マンションの老朽度の判定」という項目がありましたので、これに沿って南流山弐番街を判定してみました。(設問の確認結果の下線の答えが国土技術政策総合研究所の問題とするものです。また、◎印は当マンションの評価です)
 この結果、以下のように当マンションは良好な状況にあることがわかりました。

 

<安全性の判定>

 下記より、構造安全性、防火・避難安全性については問題ありません。

(1) 構造安全性

 1〜2の設問に該当する場合に想定される問題として、耐震性能が低く、地震時に危険のある可能性があり、3〜7に対しては建築材料が劣化しており、建物の構造安全性や耐久性に支障のある可能性があり、8に対しては建物が傾斜しており、構造安全性や日常生活に支障のある可能性があるというものです。

No. 確認項目 確認結果
1 マンションの建築確認がなされた年は1981(昭和56)年6月1日以前か □ 以前である
◎ 以降である
2 ピロティや、壁のない独立柱はあるか □ ある 
◎ ない
3 外壁や柱、梁等にひびが入っているところが目立つか □ 目立つ 
◎ 目立たない
4 外壁や柱、梁等のコンクリートが欠けたり、剥がれたりしているか  □ 剥がれている 
◎ 剥がれていない
5 庇やバルコニーの付け根にひび割れがみられるか □ みられる 
◎ みられない
6 外壁のタイル等が浮いたり、剥がれ落ちたりしているか □ 剥がれている 
◎ 剥がれていない
7 雨漏りや、上階からの漏水が目立つか □ 目立つ   
◎ 目立たない
8 本来勾配のない建物本体の床版エントランスホールや階段室の踊り場等)にビー玉を置くと自然に転がるか □ 転がる  
◎ 転がらない

(2) 防火・避難安全性

 9、10の設問該当する場合に想定される問題は、火災などが起こった時に、避難上の危険がある可能性があるというものです。

No. 確認項目 確認結果
9 共用廊下や階段の幅員はどのくらいか(共用階段900mm未満、共用廊下1200mm未満の場合は問題あり。ただし、両側に住戸がある廊下*は幅1600mm未満、避難用階段では幅1200mm未満では問題あり) *:中廊下式の場合  廊下幅 1220mm
 階段幅 1200mm
◎ 幅員が足りている
□ 幅員が足らない
10 バルコニー側から隣の階段室の住戸または下階の住宅に容易に避難できるか  ◎ 避難できる
□ 避難できない

 

<居住性の判定>

 バリアフリー設計が一般化される以前の建築設計であり、その面での居住性が若干劣る結果となります。しかし、改修工事で構造物に影響を与えない範囲で手すりの取り付け、段差の解消などの改善に取り組まれていて昭和58年竣工の建物としては比較的、良好な状況にあるといえます。
 設備面についても問題となる点は見られません。

(3) 躯体及び断熱仕様に規定される居住性

 想定される問題として、1は階高が十分ではない可能性があり、2は建物の遮音性に問題のある可能性があり、3〜7はバリアフリー対応(高齢者対応)が十分でない可能性があり、8、9は断熱性に支障のある可能性があり、10、11は住戸面積が現在の一般レベルからみて十分でない可能性があるというものです。
 居住性については主観も入りますが、2.5mという天井高は一般に十分な高さと考えられ、80m^2という専有面積も広いとはいいませんが、そこそこの広さと考えられます。昭和58年の竣工でバリアフリー設計については十分とはいえませんが、これまで階段部へ手すりを設置するなど、改修工事の中でできる範囲で取り組みがなされています。
 以上より、比較的良好な居住環境にあるといえます。

No. 確認事項 確認結果
1 部屋(天井)の高さに圧迫感などを感じている者が多いか □ 多い
◎ 多くはない
2 上階や隣戸のトイレの水を流す音が聞こえるか □ 聞こえる
◎ 聞こえない
3 住棟外部から1階住戸までのアプローチ部分に段差があるか ◎ ある
□ ない
4 住棟外部から1階のエレベーターホールまでの段差部にスロープがあるか ◎ ある
□ ない
5 玄関扉やポーチ部分に大きな段差があるか □ ある
◎ ない
6 浴室やトイレの出入口部分に大きな段差があるか ◎ ある
□ ない
7 共用廊下や階段、住棟へのアプローチ部分に補助手すりが設置されているか ◎ 設置されている
□ 設置されていない
8 サッシのまわりから「すきま風」が入ってくるか □ 入ってくる
◎ 入ってこない
9 住戸内に結露が目立つか □ 目立つ
◎ 目立たない
10 住戸が狭いと感じているか者が多いか □ 多い
◎ 多くはない
11 洗濯機置場がなくて不便と感じている者が多いか □ 多い
◎ 多くはない

(4) 設備の水準

 12〜14の設問に該当する場合に想定される問題として給水設備が劣化している可能性があり、劣化した給水設備の点検や交換が容易ではないこと、15、16に対しては排水設備が劣化している可能性があり、劣化した排水設備の点検や交換が容易ではないこと、17に対しては電気容量が現在の一般レベルからみて不足している可能性があるというものです。
 設備面では特に問題はないと考えられます。なお、シャワーについては各住居への給水配管部分で減圧弁を設け、バルブの開閉に伴うウォータハンマの発生を防止しているため、人によっては「十分でない」と感じられる方もいるかもしれません。理由はこのような設備上の配慮で配管の老朽化などに起因するものではありません。

No. 確認事項 確認結果
12 赤水が出ることがあるか □ 出る
◎ 出ない
13 シャワーの水圧等は充分か ◎ 充分
□ 不充分
14 給水管がコンクリートの中に埋設されていないか □ 埋設されている
◎ 埋設されていない
15 排水管が詰まることがよくあるか □ よく詰まる
◎ 詰まらない
16 排水管がコンクリートの中に埋設されていないか □ 埋設されている
◎ 埋設されていない
17 一度に色々な家電製品を使うとヒューズが飛ぶことがあるか □ ある
◎ ない

(5) エレベーターの設置状況

 18の設問に該当する場合に想定される問題として、バリアフリー対応(高齢者対応)が十分でないというものです。当マンションは9階建てで当然、エレベータが設置されています。

No. 確認事項 確認結果
18 4・5階建ての住棟にエレベーターはあるか ◎ ある
□ ない

 

【参考】 建物の健全度