大震災の備えとしての住居の中の安全

 

■ 大震災に対する備え

 平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震から何年も経ち、私たちの記憶からそのことが徐々に薄れようとしています。しかし、その地震によって亡くなられた多くの方の犠牲を無としないために、自身の、そして家族の安全を確保するために、日頃の備えをする必要があります。
 「大地震を乗り越えるには、その地震が発生して収まるまでの短時間の間をどのように乗り切るか」が重要です。この間は誰も手助けすることができませんので、居住される皆さん一人一人の平素の準備が必要になります。そして災害発生の直後から、住民同士の助け合いが不可欠となってきます。そこで次に「大地震が起きたら?」、そして住居の安全について解説します。

■ 住居の中の安全

 大震災に遭遇する場所として確率が高いのは住居です。このため、地震に対して家の中が常に安全なように心がけ、突然の地震に対して揺れが収まるまで乗り切れるようにすることが重要です。特に乳幼児は大人では何ともないと思われる落下物でも、大けがにつながります。子供への贈り物を飾っておきたい場合がありますが、倒れたり落下して子供が危険にさらされる場所に置いてはいけません。また、阪神大震災では就寝中に布団の上にタンスが倒れてきて身動きできなくなったという事例があります。家具と生活の場を見直してみる必要もあります。このように、少しだけ想像力を働かせれば随分、家の中が安全になります。 総務省消防庁の「地震による家具の転倒を防ぐには」のWebサイトが参考になります。
 このようなことから、「もし、大震災がきたら…」という観点から家の中を見直し、家具の配置を変えたり、転倒防止の対策を施したり、あるいは不要な家具類を減らすのを試みられるのはいかがでしょうか。加齢とともに体力が衰えるのはやむを得ないことで、いざという時、物が多いのは処理が大変なことになります。このような対策は地震時だけでなく、日常生活での家の中の安全確保にも役立ちます。
 次表に主な住居内の地震対策を示します。なお、日常生活での「住居の中の安全」もご一読ください。

場所 項目 対策
共通 照明器具の落下防止(割れた電灯によるケガ防止) チェーンで吊下げた照明器具の吊下げる鎖などの補強。
家具の転倒防止 倒れる危険性のあるものは倒れ防止器具取付
通路確保 扉の周辺に倒れて出入りの障害となるものを置かない。
額縁、鏡など 壁にかけた額縁や鏡などの落下しやすいものは、ベッドや机の側に掛けない。
落下物の防止 スピーカーなどは頭の上や出口の上に設置しない。・洋服箪笥などの上に落下するものを置かない。
寝室 家具との挟まれ防止 洋服箪笥など背の高い家具は置かない。
子供部屋・書斎 本棚の転倒防止 倒れる危険性のあるものは倒れ防止器具取付
リビングルーム テレビの転倒防止 ・ テレビを台に固定(通常、テレビの背面に台との間に固定具をつける。
・ テレビ台のキャスターを固定する。
飾り棚の内容物の飛出し(ガラス類の飛散防止) ガラス製の場合、割れても飛散しないように飛散防止フィルムなどを張る。
ピアノの移動防止 キャスターが動かないよう専用の防止装置で固定する。
台所 冷蔵庫の転倒防止 転倒しないように措置する。
食器棚からの飛出防止 ロックがかかる構造となっているが、万一のため、把手を留め具で留めることも考えられる。
バルコニー 階下への落下防止 ・ バルコニーに落下のおそれのあるものを置かない。
・ 物干し竿など、落下のおそれのあるものは、吊り金物とワイヤなどで結ぶなどして、落下しないようにする。

【参考】 東京消防庁資料他