トイレ

 

 標準の洋風大便器は無理な力をかけて破損(ひび割れを含む)させない限り、使い続けることができます。タンク部(S731B、補修部品は絶版)のひび割れであれば、他機種のタンクに交換ができます。また、洗浄便座(レギュラーサイズ)を設備して快適性を増すこともできます。
標準の洋風大便器は縁の部分の汚れが落ちにくく、溜水面が狭く汚物が便器に付着しやすいことから、近年の汚れの付着しにくい加工で溜水面の広い大便器への更新が考えられます。また、近年の大便器は洗浄水の節水(標準の約13リットル/回に対し、約6リットル/回)ともなります。
当マンションの洋風大便器は、1階がC730(TOTO)という床排水タイプ、2〜9階がC730P (TOTO)という床上(壁)排水タイプです。このため、1階と2階以上では更新できる洋風大便器が異なります。次に更新可能な洋風大便器を1階と2階以上に分けて解説します。

(1) 1階

 1階の床排水式の洋風大便器C730の排水心(壁から既存便器の排水管中心までの寸法)は540mmです。そこで新しい便器もこの排水心に対応したものから選ぶことが必要です。表4に選択可能な大便器をまとめます。製品によっては便器前出寸法が既存の洋風大便器の755mmより長く、足元が狭くなるものもあります。選定における判断材料としてください。

表4 1階用のリフォーム用トイレ(2008年9月現在)

メーカー 製品名
TOTO レストパルSX(排水心可変タイプ、スタンダードタイプ) (723mm)、 レストパルSX(排水心可変タイプ、収納タイプ) (798mm)、ネオレストAHタイプ (797mm)、ネオレストAタイプ (797mm)、 ネオレストDタイプ (797mm)、Zシリーズ (763mm)、ピュアレストQR(763mm)
INAX サティスリトイレ (740mm)、サティスアステオリトイレ (720mm)、PitaリトイレT型 (790mm)、アメージュVシャワートイレ(リトイレ) (760mm)、アメージュV便器(リトイレ) (760mm)

備考: ( )内の数字は壁面から便器先端までの前出寸法。

(2) 2階〜9階

図4 洗い落とし式の配管

 2階から9階に用いられる床上排水(壁排水ともいう)タイプの洋風大便器C730Pは図4のように10度傾斜した排水管が用いられています。便器の更新は、この10度傾斜した排水管に対応した便器を選んで既設の排水管をそのまま流用する方法と排水心高さを調整可能なアジャスターや壁排水便器取替用排水ジョイントを用いる方法があります。これらの配管方法の特徴を表5にまとめます。

表5 2階以上の洋風大便器のリフォームの配管方法(2008年9月現在)

  既設の排水管を流用 既設排水管をカットして壁排水便器取替用排水ジョイントを接続
配管方法
特徴 更新に適用できる便器の種類が限定される。 排水心高さ155mmの便器に広く適用可能。
便器前出寸法が既設の配管を利用したものよりも短くできる。耐久性が既設の排水管を流用するものより劣る。
適用便器  [TOTO] 
Z-MRシリーズ (約770mm)、
ピュアレストMR (約770mm)

[INAX] 
Pita〔床上排水155タイプ〕 (790mm)、アメージュVシャワートイレ〔床上排水155タイプ〕 (790mm)、アメージュV便器〔床上排水155タイプ〕 (790mm)
[TOTO] 
ネオレストハイブリッドシリーズ(757mm)、
レストパルSX(721mm)、
Z-MRシリーズ(720mm)、
ピュアレストEX(768mm)、
ピュアレストMR (773mm)

 

(3) オプションなど

 表4、5で示した洋風大便器は「便器」と特記のものを除いて、洗浄便座が組込んだシステムとなっています。洗浄便座は、洗浄便座組込みの操作パネルや機構部の突出が少ないデザインで、リモコン付であると、使い勝手がよく、掃除がしやすくなります。
 トイレ室内の側面に別置きの薄型の手洗い器や棚を設けるオプションがあります。当マンションのトイレの有効室内寸法(幅86cm×奥行き125cm)は、掃除などのメンテナンスを考慮すると必要最低限の寸法です。室内の有効寸法を狭くするオプションの選択はこれらの面で使い勝手の悪いものとなります。この面を理解してオプション選択を検討する必要があります。

(4) 給水管との接続

 トイレのタンク用の給水は壁面の給水管から供給されています。この給水管は更生工事を行っていますので、この既存の給水管に接続します。大便器の排水は必ず、汚水排水管に接続しなければなりません。(表5参照)