玄関の鍵について

 

 侵入犯は玄関扉の鍵とその周囲の構造を見て「短時間に侵入できる」と考えると、インターホンで留守を確認し、犯行におよびます。補助錠を付けることも有効ですが、まずは現在のドアの錠を「侵入に時間がかかる鍵」とすることが防犯の第一歩です。MIWAのディスクシリンダーは、ピッキングの技術があれば数十秒で開錠され、錠に傷もつかないことから「いつ侵入されたのかわからない」という被害報告もあります。そして日本中にこの錠が普及していたことから、ピッキングによる侵入被害が多数発生しました。現在、ピッキングの被害比率はピッキングでの解錠の困難な錠への移行により減少していますが、被害は続いています。この錠をお使いでしたら防犯性の高いシリンダへ交換してください。また、このピッキング対策がなされたMIWAのU9ですが、ドライバーで破壊される被害がでたことから平成12年末に改良型が出されています。今日の犯罪状況から「錠は一生ものではなく消耗品」と考えて交換すべきものと思います。錠前工事は定価がないため、費用について述べるのは難しいのですが、近くの大手ホームセンターで紹介の業者で、出張料が3,150円、シリンダー交換が1個に付いて3,150円、これに錠の価格が加わるという内容でした。(錠前の本体交換や補助錠取り付けなどは別料金)
 「シリンダの交換は専門家でないとできないのでは」とお考えの方も多いと思いますが、プラスドライバーを使える人ならば取扱説明書を読みながらでも5〜10分ほどで交換できる簡単な作業です。種類は限られますが、大手のホームセンターで錠の取替シリンダー(近くの別の大手ホームセンター調べで4,000〜20,000円)が販売されていました。素性のわからない業者へ交換依頼するより安心で、費用も安くできます。

 次に交換用シリンダの選定について、全国防犯シリンダー普及会の「鍵のカタログ」(www.kagistar.com/catalog/に2003年版が掲載)などを参考に解説します。

【CP-C認定】
 (財)全国防犯協会連合の交換用シリンダー単体の耐ピッキング性能を審査し型式認定を通ったものですが、2004年4月に制度運用は廃止されました。認定されていないGOALのV18が日本初の米国UL防犯規格(UL437)に通るなどありますので目安 と考えてください。

【鍵違い数】
 錠の構造からできるキーの組合せ数で、鍵違い数と鍵としての防犯性能は等しくないため、参考程度としてください。(私の使っている鍵は鍵違い数が公表されていませんが、構造から計算すると約6千7百万の組合せと考えられます。この組合せを短時間にひとつひとつあたって解錠するのはほぼ不可能といえます。)

【複製が困難なこと】
 持ち主の知らない間に鍵が持ち出されて複製がつくられ、被害にあうケースがあります。この面から複製の困難な鍵を選ぶのがよいといえます。一般にディンプルキー(鍵の側面にクレータのような穴のあいたもの)に複製困難なものが多いようです。ピンとマグネットを使ったECシリンダーは複製が容易とのことです。

【リバーシブル】
 方向を気にしないで鍵を差込めるのは急ぎの時に精神衛生上よいです。また、鍵の差込みやすさはユニバーサルデザインの面でも考慮すべきことです。(私もこのタイプを使っています。)

【不正解錠対策】
 新しく設計された錠であればピッキングには強いものになっています。しかし、専用解錠工具が販売されている錠もあり、この悪用の可能性も否定できません。専用解錠工具販売されていない錠がより安心です。
 物理的に錠を壊して解錠してしまうものとして電動ピック、ピックガン、ドリリングなどの方法があります。新しい設計の錠は壊すのに時間がかかるようになっていますが、その耐久性はまちまちです。

 

 南流山弐番街の錠は「面付け錠」といってかんぬき部分が外からアプローチできない位置にあることから、バールなどを用いたこじ開けには強いといえます が、扉が外開きで丁番が露出しているため、丁番を切断したり、丁番のピンを抜き取ることでドアが開けられてしまいます。この対策としてドアボスの取り付けがあります。

 

【参考】

http://www.kagistar.com/