洗濯機パンの更新

 


洗濯機防水パンEF-7B(ヤマハ)


洗濯機パンPWP640(TOTO)

図1 洗濯機パンの更新

 標準品として設備されている洗濯機防水パンEF-7B(ヤマハ630mm×800mm)で全自動洗濯機(約600mm角)を使っていて、何気なく洗面所内で体の向きを変えようとして防水パンの角に足がぶつかったこともあり、「洗面化粧台側の空いたスペース分、足元を広げられないか」と考えました。
 そこで管理事務室にある設備施工図を調べると、不可能ではないけれど、1階と2階以上では洗面所の床下の配管経路が異なり、洗濯機パン系統の排水管のみの作業に限定する場合、図2に示すように洗濯機パンの排水口の位置を変えねばならないことがわかりました。加えて既存の洗濯機パンの横引きトラップの排水口の高さ(床面から58.3mm下)から、例えばTOTOの640mm×640mmの洗濯機パンPWP640に更新した場合、その横引きトラップ(PJ2008)の排水口の高さ(床面から71mm下)から、排水勾配を維持し、既存の排水管に無理な力をかけないようにするためには、洗濯機パンの設置高さを12mmほど、高くした方がよいこともわかりました。
 なお、INAXの洗濯機パンテクノテックの洗濯機パンを用いればTOTOの洗濯機パンのように床面の嵩上げの必要なく、配水管を接続できます。

 以下にTOTOの洗濯機パンによる更新の記録を示します。

 竣工図面を確かめないで施工するリフォーム業者がいますが、洗濯機パンの更新という単純に思える作業でも、既存の洗濯機パンの排水トラップまわりの寸法を調べ、新しい洗濯機パンの寸法を調べ、かつ、給排水設備の竣工図面を調べた上で、要求の内容が実現できるかがわかり、また、どういう手順で行えば信頼性を含めて無理のない作業ができるか、わかるものです。そのことを再確認させられました。


1階の洗濯機パンの排水口の位置

2〜9階の洗濯機パンの排水口の位置

図2 排水口の位置(奇数号室の場合) 注:偶数号室は左右対称となる。

 

写真左:既存の洗濯機パン(底面に両面接着テープが貼られ、クッションフロアと接着)を撤去し、排水口周囲の開口部を塞ぐベニア板を外した状態。ベニア板を載せる桟となる角材が斜めに配置されているのが見える。開口部の左上に見える支柱は排水トラップと干渉するため、撤去。

写真中段左:排水口の位置を640x640の洗濯機パンに対応させるため、エルボで90°振った状態。VP管を使用。排水トラップの高さは12mm厚のベニア板を洗濯機パンの下に入れることを前提に高さ調整。開口部を塞ぐ板を保持する桟を木工ボンドと木ネジを使って固定。

写真中段右:開口部を塞いだ状態。

写真下段:65cm×65cmの大きさの12mm厚のベニア板を排水口の部分を切り抜き、洗面所床に木ネジで固定し、CFを貼り付け。

事前の調査を行えば床面の嵩上げの必要なTOTOの洗濯機パンを用いることはありませんでした。しかし、怪我の功名といいましょうか、洗濯機下の床の剛性が高くなったために洗濯機使用時の共振が抑えられ、音が小さくなったように感じます。

図3 洗濯機パンの更新状況

 

INAXの洗濯機パン(メーカーのpdf版カタログにリンク)

 INAXの全自動洗濯機用の64×64cmの洗濯機パンPF-6464ACとそれに対応した横引き排水トラップTP-32を組み合わせると床の仕上げ面から60mm下がりの位置が排水口中心となります。これより、INAXの洗濯機パンを用いれば上のTOTOの洗濯機パンの例のように床面をかさ上げする必要はなくなります。

テクノテックの洗濯機パン

 テクノテックの洗濯機パンは目にすることが少ないですが、洗濯機が載る部分を高くして掃除性を高めています。64×64cmの洗濯機パンとしてTPD640とTP-640の2種があります。前者は洗濯機を載せる位置を高くしたデザイン、後者は中央部リムの高さを低くしたデザインで掃除性に配慮しています。横引き排水トラップPNT-SWMを組み合わせると床の仕上げ面から60mm下がりの位置が排水口中心となり、床面の嵩上げの必要なく、洗濯機パンを設備できます。