すまいの防火

 

 家族やすまいを火事から守るには、まず、火災の原因を理解し、その原因となることを防ぐことからはじまります。しかし、料理など、日常的に火を使うことがありますので、これに対しては、もし、炎がでても、あわてず、炎の小さいうちに消したり、直ぐに消防署へ連絡をするなどが必要です。家の中の整理を常にこころがけることも、広い意味で防災対策となります。
 すまいの火災の原因と消火器の使用方法などについて次に紹介します。

■ 火災の原因とその防止策

 すまいの火災の原因としては「台所まわり」、「煙草の火の不始末」、「暖房器具の取り扱いの誤り」、「電気製品の取り扱いの誤り」に大別して考えることができます。

【キッチン】

 台所は日常的に火を使う場所です。油の入った鍋をガスコンロにかけて過熱させたために、火が入り火災になったという事例は、よく知られています。これに加え、近年、魚焼き用グリルの火を消し忘れて内部が過熱し、火災となった事例が多くあることが指摘されています。この他、奥のコンロの調理をしていて、手前のコンロの火が衣類に着火(「着衣着火」)して火傷を負うなどの事故例が報告されています。特に厚着の冬などは衣類に火がついたことに気づきにくい面があります。キッチンではありませんが、仏壇の灯明の火が衣類に着火ということもあるそうです。

 台所における火災を防ぐには、
  • 常に火を使っていることを意識すること
  • 火がついている時は台所から離れない
  • 使い終えたら必ず、ガスの元栓を閉める

などを習慣とすることが必要です。

 最近、火を使わない電磁調理器が普及しはじめているのも火による火災や事故の発生を防ぐ安全意識が高まりによります。

【煙草の不始末】

 煙草を吸う人は煙草の火のついた部分を落として「おっとと・・・」ということを少なからず経験していると思います。灰皿のあるところ以外では喫煙しないことはもとよりですが、寝タバコは絶対に避けた方がよいです。布団の上に煙草の火を落として消したつもりが、布団は火種を残しやすい特性をもつため、完全に消えず暫くして炎となって、大火傷を負ったり、火事となった事例があります。

【暖房器具】

 灯油やガスを燃焼させるストーブやファンヒータ、電気ヒータ(ヒータを赤熱させるもの)の暖房器具について考えてみましょう。灯油は引火点が70℃未満の第2石油類に分類されます。このため、暖房器具に灯油を補給する場合、必ず、火を消して作業しなければなりません。これらの暖房機に布などをかけていて引火して火事になったという事例もあります。取り扱い説明書に記載されていますが、そこで禁止された使い方は決してしてはなりません。
 なお、ガスや石油のストーブやファンヒータは室内の空気を燃焼させるため、室内の換気に留意しなければなりません。小さなお子さんのいるご家庭では、特に火傷などの心配がない安全な暖房器具を選ばれることをおすすめします。

【電気製品】

 住居内での火災発生の原因として、漏電があります。また、電気製品をタコ足配線したため、配線器具に許容以上の電流が流れて過熱し、さらにケーブルを束ねておいたためにケーブルの放熱がうまくいかず火災となることが知られています。この他、『トラッキング火災』と呼ばれるプラグの刃とコンセントの間に溜まったホコリに流れる微電流が原因となって起きる火災、マグネット式電源コードにクリップがついてショートして出火という事例があります。これらによる火災を防ぐには、「タコ足配線をしない」、「きれいに思えても電気製品のケーブルをしばって束ねない」、「テレビなどのコンセントまわりは、時々点検して掃除し、埃がたまらないようにする」、「マグネット式電源コードを接続する時には接続面に異物がないか確認する」などが必要です。トラッキング火災防止のためにコンセントの差込口にホコリ侵入予防シャッターをつけたり、プラグの刃に絶縁カバーを取り付けた延長コードもあります。

 

■ 消火・避難

 万が一、出火した場合、直後の1〜2分程度ではまだ燃え広がらず、消火器があれば十分消せる可能性があります。各住居の玄関扉隣のメーターボックスの中に簡易消火器が備られています。初期消火が可能な限界は、炎が天井に届くまでといわれます。手に負えないと思ったら迷わずに避難することが必要です。難燃性の壁材や塗装には、燃えると有毒なガスを発するものもあるので、煙は吸いこまないように濡れタオルを口にあてるなどして煙にまかれないように低い姿勢で避難します。避難方向はどこで火災がおきているかによりますが、玄関から遠い場合はバルコニーに出て隣の隔壁板を破って避難しましょう。そして自身の安全を確保して119番に通報します。

簡易消火器の操作方法

 一般に広く使われる消火器は、胴体に白(普通)、黄(油)、青(電気)の丸印が表示された簡易消火器「粉末ABC消火器」です。この消火器は、「安全ピンを抜き/ホースを火元に向け/レバーをにぎる」という簡単な操作で使えます。東京消防庁が指導する消火器使用のポイントは、次の3点です。

  1. 姿勢を低くして熱や煙を吸いこまないようにする
  2. 薬剤は手前から掃くように火元にふりかける
  3. 風上から風下へ

 薬剤の放出時間は10〜20秒で、あせらず確実に火元へ噴射することが大切です。なお、ふとんなどは、粉末消火器で消したつもりでも後から燃え出すことがありますので、さらに水をかけておきます。火災時には気が動転して安全ピンを抜くことを忘れ、消火器を使えなかった例がよくあるそうです。
 自治会などで実施される消火・防災訓練に参加し、取り扱いを理解しましょう。

 

■ リンク

東京消防庁:すまいの防火