内玄関の広さの演出

 

 南流山弐番街の平面プランはLDを広くとるために、他の部分は機能を優先した設計となっています。このため、内玄関のスペースに「ゆとり」は感じられません。また、玄関は階段室に面することから、玄関が外廊下に面するものに比較してプライバシーが守られますが、玄関が住居の中央となるため、外光が届きにくく、暗いという面があります。
 そのような玄関ホールを「広く見せる」手法として、次のものが考えられます。

 ここでは鏡の利用について実験しましたので紹介します。なお、実際に鏡を用いる場合は割れた時に飛び散らないように保護フィルムを張るか、割れない鏡(ステンレス製)を用いるかが必要と考えています。

 

■ 鏡を用いた実験

(1) 壁面の利用


LD側から玄関を見る。(左が玄関扉側)
 昼間、内玄関には左の写真のように室内で反射して太陽光が入ります。そこで考えたのが図1のように太陽光の当たる部分の壁面に鏡を取り付けることです。外出時の姿見、鏡による錯覚によって空間的な広さの演出、さらに夜など天井照明の光を反射する役割もします。(図中には玄関内で靴を履くのに利用する収納式の腰掛と、シーリングライトを壁面照明に変えた場合のイメージも書き込みました)
 左の写真の正面の扉の左にあるのが実験で置いた姿見、左下はその拡大、そして下の写真が鏡の反射光で照らされた靴箱周辺です。天候や時間にもよりますが、条件がよければ照明をつけないでも靴箱の中の靴が判別できます。


図1 玄関の壁面に鏡を取り付ける案

(2) 玄関物入れの扉

 玄関物入れの扉におおきな鏡をつけることで上記の鏡を用いた広さの演出ができないかと考えました。懸念されたのが玄関に立った状態で生活観がにじみ出る洗面所が移りこまないか、ということでした。
 そこで鏡を物入れの位置に置いて、洗面所は映り込まないことを確認しました。

 この結果を得て物入れに鏡を取り付けました。(

 

玄関のハンガー

 玄関ホールの壁面に石膏ボード用のネジを使って取り付けたハンガー。便利で通行の障害とはならないのですが、視線の高さに物があるとやはり狭さを感じさせるため、実験に際して取り外してしまいました。