リフォームマニュアル
1. 「コープ野村南流山弐番街 リフォームマニュアル」について
|
『南流山弐番街:リフォームマニュアル』
(2009年8月 改訂三版) (8MB)
【概要】
コープ野村南流山弐番街にフォーカスして水廻り設備、電気設備を中心にマンションの専有部分のリフォームを解説。改定三版では住宅性能表示制度からの視点を入れ、設備機器に関する解説を追加し、他マンションの方にも参考となるように充実を図る。
【目次】
1. コープ野村南流山弐番街の現状
2. 水周り設備のリフォーム
2.1 ユニットバス
2.2 洗面化粧台
2.3 洗濯機パン
2.4 トイレ
2.5 キッチン
3. TES
4. 電気設備
5. 建築
6. 全面リフォーム
7. 防犯
【技術資料】
|
|
『南流山弐番街:リフォームマニュアル
- リフォーム事例 -』(2009年7月発行、2014年2月改訂) (2.4MB)
【概要】
水廻り設備のリフォームの製品選定のプロセス、 工事状況を事例として紹介する。
【目次】
1. ユニットバス
2. 洗面化粧台
3. トイレ
4. 洗濯機パン
5. 壁クロス、クッションフロア
6. 洗面所に関連する事項
|
「コープ野村南流山弐番街 リフォームマニュアル」は給排水設備改修工事(2008年)を契機に水廻りのリフォーム工事を実施する区分所有者が増加することを想定し、給排水設備改修工事部分と整合したリフォーム工事を区分所有者が実施できるようにすることを目的に2008年11月に最初の版を発行しました。執筆は管理組合保全専門委員会の委員で、区分所有者がリフォーム業者に渡して確かな水廻り設備工事が実施できるように巻末の【技術資料】をマンション管理会社の野村リビングサポートの協力を得て作成しました。
書店で並ぶリフォーム関係の書籍は一般論に終始し、リフォームの計画で即、役に立つ情報の記載は多くありません*。また、マンションの住居のリフォームにおいて重要となる給排水設備について詳しく記載する書籍はなく、設備配管のセオリーを無視したリフォーム計画案を示す書籍もあるのが現状です**。これがマンション独自のリフォームマニュアルの作成に至らせました。
マニュアルは上記の経緯から、コープ野村南流山弐番街の建築・設備にフォーカスした内容ですが、その2回の改定を経て2009年8月発行の改定三版では住宅性能表示制度からの視点を盛り込んだり、設備機器に関する解説を追加しました。具体的な機器選定にまで踏み込んで解説する書籍は皆無であることから、他のマンションのリフォームを考えられている方にも、「このように考えるのか」という知識の整理に役立つものと考えます。
「リフォームマニュアル」は一般論の面から展開する必要があることから、コープ野村南流山弐番街の第1回目のユニットバスの集中リフォーム工事における保全専門委員の住居の実際のリフォームを事例としてリフォームの製品選定のプロセス、工事状況を解説する別冊の「リフォームマニュアル - リフォーム事例 -」を2009年7月に発行しました。
財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の「第26回住まいのリフォームコンクール」にコープ野村南流山弐番街の第1回目のユニットバスの集中リフォーム工事が「築26年ストックマンションの水廻り再生プロジェクト」として、本工事を利用してリフォームをされた方と管理組合の協力で野村リビングサポート(株)が応募し、「審査委員特別賞」を受賞しました。そして受賞に対する講評で本リフォームマニュアルに対して「一般的なマニュアルでは教科書的内容に流されてしまいがちだが、特定の建物に限ればこれだけわかりやすくなりうることを示したこの2冊は、多くのマンション改修工事に非常に参考になる内容である。仮に所有者が変わっても、工事部分の特徴や状態などを安心して引き継いでいけるようになっており、商品として扱われることも多いマンション住戸の「資産価値を下げない仕組み」を含んでいる点でも見るべき価値がある。」と評価をいただきました。
これらのマニュアルは上記の表紙の画像をクリックすることで閲覧できます。
2. 他マンションへの「リフォームマニュアル」作成のすすめ
『マンション専有部のリフォームマニュアル作成について』
|
建築設備に関する知識を持つ人であれば「まず、設備設計図を調べてこれに適合する設備機器を・・」とリフォームに用いる製品を選択します。「コープ野村南流山弐番街 リフォームマニュアル」もこれに準じて作成したものです。
各マンション管理組合でリフォームマニュアル(コープ野村南流山弐番街用に作成した大ページのものである必要はなく、まずは水廻り設備の選定条件をまとめたもの)が作成されるようになれば、そのマンションの区分所有者のリフォーム計画は容易になります。そこで他のマンション管理組合での「リフォーム・マニュアル」の作成への参考となればと『マンション専有部のリフォームマニュアル作成について』をまとめました。
また、本来、そのマンションの設備設計者が水廻り設備のリフォーム時のインターフェース条件について最も深く理解している訳ですから、マンション販売時にその内容を引き渡し書類に含まれるようになることも期待されます。(「自分が設計したものをリフォームを想定してなどと・・」と設計者のプライド面から許容しにくい面もあるかもしれませんが、資産価値を維持していくためには、積極的な情報公開が必要と考えられます。
|
コープ野村南流山弐番街では管理規約を改定し、専有部の設備配管で共用部との一体管理が必要なものについては管理組合が工事を行えるものとしています。これについては下記をご参照ください。
【参考】 専有部の設備配管の一体的管理
3. 「リフォームマニュアル」の活用について
管理組合の保全専門委員という立場を通して、マンションリフォーム業者の設備工事に関する基本知識のなさに驚かされることが少なからずあります。建設業を営むには県または国土交通省の許可が必要ですが、少額工事(建設一式工事で1,500万円未満、単独工事で500万円未満)には許可がいらず、リフォーム業者の大半***が建設業の許可を得ていない現状がありますので、当然といえば当然なのかもしれません。
発注する側は技術的に「?」の相手でも見極める術を持ちませんので、「こちらの要望をよく聞いて対応してくれるから」と営業のうまさだけで業者を選ぶことが少なからずあると考えられます。しかし、営業担当者が建築や設備の設計知識を持つことは希です。このため、そのマンションの専有部の原設計に適していない無理なリフォームの要求であってもチェックする術がなく、結果的にリフォーム発注者にとって不満足なリフォーム結果が生じたり、早期に設備の不具合が生じることもあります。そこでリフォームを発注する側がリフォームに関する知識を得て「賢い発注者」になることが、無理のない実際的なリフォームを実現する早道であり、また、よい施工業者を選ぶ眼を養うことにもなります。
このような面からコープ野村南流山弐番街の皆さんだけでなく、他のマンションの皆さんにも本マニュアルが参考となれば幸いです。
執筆者: 市川 誠
【備考】
*:特定の建物が対象では採算が取れないため、出版企画の俎上にもあがりません。
**:書店に並ぶリフォーム関係の雑誌は建材やリフォーム業者の広告媒体という性格を強く持ちますが、「書籍の形態をとっているが企業PR本」ともいえる書籍も発行されています。著者の肩書きに一級建築士がつけられていても水廻り設備の設計に関する知識は「?」 と思われるのが散見されますが、平成18年12月20日公布の新建築士法で設備設計一級建築士制度が創設され、一定規模以上の建築物の設備設計は設備設計一級建築士が自ら設計を行うか、設備設計一級建築士に設備関係規定への適合性の確認を受けることが義務付けられ たことと無関係ではありません。
***:無登録ですので実態数は不明です。住宅のリフォームでインターネットのWebサイトを検索すると、すぐ収益があがりそうな言葉で書かれているものが上位に多数あり、「よいリフォーム施工を通して発注者に喜んでもらう」のが目的ではなく、金儲けの手段としてリフォームという仕事が見られていて、その程度の意識しかもたない業者が多いであろうことが想像されます。
Homeへ
|